パワハラ脱出プロジェクト|福井県敦賀市パワハラ問題解決の専門家による被害者のための総合情報提供ブログ

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第5章「パワハラ解決」とは何か

パワハラの解決においては、原則として、証拠と味方が必要です。

ですが、一口に「パワハラ解決」と言っても、そこには様々なものが含まれます。それによっては、証拠も味方も必要ではないかもしれません。たとえば、あなたが望む解決は、いち早く転職先を見つけることであれば、少なくとも証拠は必要ないでしょう。

このように、あなたが望む「解決」の内容によって、あなたが取るべき行動は変わってきます。ですから、あなたが望む解決の内容を明確にしておく必要があります。

さらに言えば、その望む解決=ゴールは、できるだけ高く設定することが必須となります。パワハラの被害に遭っているとき、ゴールは低くなりがちだからです。

そして、ゴールが低くなるとジレンマが生じて動けなくなるのです。たとえば、「会社を辞めたい」というゴールだけでは、必ず「給料は下げたくないから、辞められない」というジレンマが生じるのです。ジレンマが生じると動けなくなります。

ですから、ゴールはジレンマが生じないレベルで高いものである必要があります。たとえば、「今より待遇のよいところに転職する」なら、何もジレンマは生じません。

ですから、高いゴールを設定するようにしましょう。そしてそのゴールを達成する手段を考えるのです。

【1】方法の原理

西條剛央先生は、「方法の原理」というものを提唱されています。

方法とは、「特定の状況において使われる、目的を達成するための手段」と定義される。何気ない定義に見えるかもしれないが、これは方法の本質-最も重要なポイント-は、「状況」と「目的」という2点にあることを示している。

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ここから、次の言葉が引き出されます。

「方法の有効性は、(1)状況と、(2)目的に応じて決まる」

パワハラの解決策についても、これは当然に当てはまります。目的と状況に応じて、方法の有効性は決まります。

ですから、目的を明確化することが大切なのです。あなたが何を目的とするかによって、取りうるべき手段は変わりるからです。

【2】目的=ゴールは、高く設定する

目的を定めるときは、意識的に高くするようにしましょう。

パワハラ被害に遭っているとき、どうしても自己イメージは低くなります。自己肯定感が下がり、自己効力感も下がっています。自分の存在価値を感じにくくなっていますし、自分には何もできないとおもいがちです。パワハラは自己イメージへの攻撃ですので、自己イメージが下がるのは仕方ないことです。

その状態で定めるゴールは、どうしても低くなりがちです。「自分がどうしたいのかが、よく分からない」という人も多くいらっしゃるぐらいです。本音を言えば会社を辞めたいけれど、辞めることができないと諦めてしまっているので、「どうしたいのかが、分からない」という状態になっています。

「どうしたいのかが、分からない」のではありません。ゴールはわかっているけれど、達成できるとは思えていないだけです。

あなたが達成したいゴールはわかっていますから、それをゴールに設定すればよいのです。たとえば、「もっとよい待遇のところに転職したい」と思っているなら、それをゴールにすればよいのです。加害者に社会的制裁を与えたいと思っているなら、それをゴールにすればよいのです。ゴールはあなたが達成したいことですから、達成方法が分からなくてもよいのです。

【3】ゴールが低いと動けなくなる

達成手段がわからないことと、達成したいと思えないことは別です。

パワハラの解決に向けて行動を起こしたいと思っても、職務上の不利益が出ると思えば動けません。これは「パワハラを解決したい」VS「職務上も不利益を被りたくない」という2つのゴールがジレンマとなっている場合です。このようなジレンマに陥ると、動けなくなります。

この場合は、「職務上の不利益を被らない形で、パワハラを解決する」というゴールを設定すればよいのです。ゴールに向かうジレンマがないため、心理的な葛藤を抱えることなく行動ができるのです。

ゴールが低いとジレンマが生じやすく、ジレンマが生じると動けなくなります。ですから、ゴールは高く設定しましょう。方法は、目的と状況から定まりますから、目的=ゴールを設定してから方法は考えればよいのです。

【4】目的=ゴールから方法が定まる

達成したいと思うゴールを定めて、あなたが置かれている状況を考慮することで、方法が定まります。たとえば、「もっとよい待遇のところに転職をする」というゴールを定めれば、あなたが取りうる行動は転職活動となります。転職サイトや転職エージェントへの登録をすることや、自分が希望する会社が求人をしていないかを調べたりが「するべきこと」になるはずです。そして、転職するのに証拠集めは不要ですから、必要なくなるでしょう。一方で、「加害者に社会的制裁を加える」をゴールとすれば、証拠集めと仲間集めは必須となるでしょう。特に人事に関係する人々とのつながりが大切となってくるはずです。

いずれにしても、大切となるのは目的=ゴールを定めることです。そしてゴールを定めるときは、あなたが最高だと思える状況を目的とするようにしましょう。達成できるかどうかについては考える必要はありません。ただでさえ自己イメージが下がっている状態なのですから、意識せずにゴールを設定すれば必ずゴールが低くなるからです。「自分には無理だ」と思うぐらいのゴールを定めないと、低くなってしまうのです。達成したいと思える魅力的なゴールを定めましょう。

【5】ゴールから生じる不利益(ネガティブブランチ)を刈り取る

魅力的なゴールを定めるには、自分の本心に素直になることが大切です。

「加害者に社会的制裁を与える」というゴールを考えた場合、「しかし、社会的制裁を与えることで加害者の恨みを買いたくない」、または「職務上の不利益を被りたくない」と思ったりするかもしれません。このように、「もしX(ゴールを実現する)ならば、Y(ネガティブな出来事)が生じる」という関係にあるYのことを、ネガティブブランチ(ネガティブな枝)と言います。

ゴールは、このネガティブブランチが生じないものとしましょう。つまり、「加害者の恨みを買わず、職務上の不利益も被らずに、加害者に対して社会的制裁を与える」というようなゴールを設定するのです。

自分にとって魅力的なゴールというのは、すべてが「want to(~したい)」で構成されています。11つも「have to(~しなければならない)」があってはいけないのです。ですから、「社会的制裁を加えたい(want to)、しかし社会的制裁を加えるには、加害者の恨みを買うことを覚悟しなければならない(have to)」というのは、最終ゴールとしては不適切です。

このような不適切なゴール設定をしないためにも、ゴール設定をしたあとにネガティブブランチを刈り取る作業を取りましょう。このネガティブ・ブランチを刈り取る作業をすればするほど、自然とゴールは高いものとなっていきます。

その結果、ゴール実現の方法は分からなくなりますが、それでよいのです。「ゴールが先、方法は後」です。

実現方法については現時点で考える必要はありません。ネガティブブランチを刈り取ることで、まず自分にとって最高に魅力的なゴールをつくりましょう。

 

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パワハラ解決の基礎知識ーはじめに(目次)
目次 はじめに 第1章 パワハラは、法律上の用語ではない 第2章 パワハラの定義 第3章 パワハラの証拠集めが必要な理由 第4章 パワハラの証拠の集め方 第5章「パワハラ解決」とは何か 第6章「目的」と「状況」によって、取るべき手段は異なる 第7章 取るべき手段を実行できない理由 第8章 パワハラは学習性無力感を生む 第9章 リスクに備える 第10章 アサーションを身に付ける 第11章 パワハラ後遺症に対処する おわりに 【はじめに】 「パワハラ解決の基礎知識」のページでは、パワハラに関する心理・法律・経済を含む、総合的な基礎知識を取り上げます。 その中でもこの「はじめに」ページでは、各ページの要約が書かれています。 2018年9月11日現在でパワー・ハラスメントは、法律上は定義されていません。そのため、パワハラに該当することによって、何かしらの法的効果が発生するわけではありません。パワハラに該当するからではなくて、他の法律要件に該当するから、法的効果が発生するに過ぎません。 法律上の定義がないため、各行政が独自にパワー・ハラスメントを定義しています。現在、パワハラの定義でもっとも有名なものは、厚生労働省の定義です。 行政が出している定義に該当することによって、何かしらの法的効果が発生するわけではありません。しかし、パワハラ解決に向けて行政を動かすには、少なくともその行政が出しているパワハラの定義に当てはまらなければなりません。 そして、行政を動かすために、パワハラ被害に遭っていることを示す証拠が必要となるのです。厚生労働省に動いてほしい場合は、厚生労働省が出すパワハラの定義に該当すると証明するものが必要となります。法務省に動いてもらいたい場合も同じです。 そこで大切となるのが、パワハラの証拠の集め方です。パワハラにはさまざまな類型がありますが、その類型によっては証拠を集めにくいものも多く、戦略的に集めていく必要があります。

投稿日:2017年5月18日 更新日:

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