パワハラ脱出プロジェクト|福井県敦賀市パワハラ問題解決の専門家による被害者のための総合情報提供ブログ

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第9章 リスクに備える

パワハラを受けた人のうち、およそ40%が「何もしない」を選びます。そして、その理由の25%が、「職務上不利益が生じると思った」です。

対処行動を取るためには、このリスクに備える必要もあります。つまり、職務上の不利益が生じないようにするか、もしくは不利益が生じても問題ないと思えるようにしておく必要があるのです。

職務上の不利益が生じないようにするために、もっとも確実な方法が仲間を作ることです。あなたと同調行動を取ってくれる人が増えれば増えるほど、あなたは不利益に遭いにくくなります。

不利益が生じても問題がないようにするためには、転職活動や独立・起業に向けた副業という選択肢があります。

仲間を作って、あなた個人の不利益を減らしつつ、組織に対して職場改善を求めていくのが理想ではありますが、もっとも現実的なものは転職活動を始めることになるでしょう。

しかし、転職ができない場合は、独立・起業に向けた副業を始めるべきです。最もいけない選択肢は「何もしない」ことであり、それを選んでしまうと長期的に心身に悪影響が出る可能性があります。

【1】リスクに備えておくから、動けるようになる

パワハラを受けても「何もしない」人が、パワハラ被害経験者の40%もいます。

そして、4人に1人が選んだ”何もしなかった理由”が「職務上不利益が生じると思った」からです。

パワハラだと主張すれば、少なくとも加害者との人間関係は悪くなるでしょう。また、組織から”問題人物”だと認定されてしまう可能性もあります。

パワハラは明らかに加害者に非があります。ですが、それを解決するためには、被害者がリスクを負わなければならないのが現状です。

リスクへの対処としては、2通りあります。1つはリスク自体を減らすこと、もう1つはリスクを許容損失内に収めることです。

【2】仲間を作ることで、リスクを減らす

パワハラへ対処行動を取るときに生じるリスクは、仲間を増やすことで減らすことができます。

「数」は単純でありながら、とても強力なパワーです。

10人程度の中小企業で、ある朝全員が出勤拒否をしたという事件に、遭遇したことがあります。より正確に言うと、出勤拒否されて困った側の依頼を受けました。この事案において、当然ですがその後トップは話し合いに応じることになり、出勤拒否した側の言い分を聞かざるを得ませんでした。

組織は、1人が退職しても何も困りませんが、2人以上が同時に辞めるとなると困惑します。1人退職になっても、いくらでも埋め合わせができるからです。2人以上が同時に辞めるとなると、その埋め合わせができない空白部分が出てくるので、業務に実際に支障が出てくるのです。これは同調行動を取る人の数が増えれば増えるほど、その影響は大きくなります。「数」のパワーは偉大です。

「数」が増えれば増えるほど、個人はリスクを分散することができます。そして、組織において交渉が実現すれば、それは全員が利益を享受することになります。これは労働組合と全く同じ考えなのですが、組織率は低下する一方ですし、労働組合があってもその職場に対して「数」のパワーを持っているとは限りません。「数」はその職場内にあるからこそ、役立つのです。

そこで、自分でその職場内で、あなたが主体的に動いて仲間を作っていくことになります。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/15/dl/gaikyou.pdf

【3】転職活動を始めておく

労働組合があり、解決ができるならそれが一番です。

もしくは、仲間が作れそうでしたら、仲間を作っての職場環境の改善に乗り出しましょう。

しかし、それが難しい場合は転職も視野に入れておいたほうがよいでしょう。転職サイトや転職エージェントに登録するだけでもよいのです。

転職サイト、転職エージェントへの登録についても、ノーリスクで可能なことです。これをすることによるデメリットは何もありませんので、ぜひしておきましょう。

【4】転職が難しいなら、副業を始めておく

転職が難しい場合は、独立・起業を念頭に置きましょう。パワハラに耐えるだけでは、何も変わりません。自分が取ることができる行動は、何でも全部実行しましょう。

もちろん、いきなり独立・起業をするのは大変リスクが高いものです。「職務上の不利益を受けるリスク」のために、独立・起業のリスクを取る必要はありません。ただし、加害者が変わる気配が感じられない場合で、転職が難しいとなれば、独立・起業を目指すのが現実的な選択肢となります。

この場合、独立・起業を目指した副業を始めることから始めましょう。具体的な方法論については、『パワハラ・職場いじめを脱出するための副業・起業プログラム』という電子書籍に書きましたので、そちらをご覧ください。

http://amzn.to/2rJl5B3

【5】リスクに備えるからこそ、行動ができる

どのような行動であれ、現状を打破するための行動には何かしらのリスクがあります。

そのリスクを冷静に判断して、もしリスクが損失として生じたとしても、許容できるものであるなら、そのリスクは取るようにしましょう。

この「許容できる損失」は、連続起業家の思考法である「エフェクチュエーション」では「許容損失の原則」と呼ばれるもので、大変重要視される思考法の1つです。

許容損失の範囲内で、あなたが実行できる解決策は、なんでも全部実行するように意識しましょう。あなたが動けば動くほど、解決は近づきます。

立ち止まっても解決することはありません。冷静に、かつ、許容損失の範囲内の行動を、大量に行っていきましょう。

【6】できることは、なんでも全部、同時並列的に実行に移していく

許容損失の範囲内の解決策は、なんでも全部同時に、並列的に実行に移しましょう。

たとえば、誰にでもできる心身を守るための手段(解決策)として、次のようなものがあります。

  1. セルフトークのコントロールをする。
  2. ビジュアライゼーションをする。
  3. アファメーションをする。
  4. マインドフルネス瞑想をする。
  5. 逆腹式呼吸をする

これらはほとんどノーリスクで、実行可能なものです。

また、法的手段としても次のようなものがあります。

  1. 被害メモを取る。
  2. 労働局に匿名で電話相談をする。
  3. 法務局の人権擁護委員にメール相談をする。
  4. 法テラスに相談をする。

経済面では次のようなものがあります。

  1. 転職サイトに登録する。
  2. 転職エージェントに登録をする。
  3. クラウドソーシングサイトに登録をする。
  4. 副業を始める。

ここまで挙げたものは、ほぼノーリスクで実行可能なものです。これらの1つ1つの解決策を実行しても、あなたに不利益が生じる可能性はほぼゼロです。

もちろん、リスクが少ないのですから得られる利益も少なくなります。しかし、小さな行動を積み重ねることで、得られる利益を大きくすることはできるのです。

被害メモを取り、労働局に電話相談して、人権擁護委員にもメール相談をしたという事実を、今度は利用できるようになるからです。

たとえば、これらの事実をブログに書くことで、アクセスを集めやすくなります。つまり、アフィリエイト副業がしやすくなるわけです。実際に、自信が受けたパワハラ被害を詳細に書くことでアクセスを集めてアフィリエイトを行っている人はいます。

他にも、労働局や人権擁護委員に相談したという事実があれば、会社に対して「労働局に相談したところ、私が受けている行為はパワハラに当たると聞いた」と主張できるようになります。そのように主張すれば、会社はそれを放置することはできなくなります。

どれほど小さな行動でも、その小さな行動を積み重ねることで、大きな利益を得ることができるのです。ですから、「こんなことをしても無駄だ」と思わずに、できることは全部同時に、並列的に実行に移していきましょう。

【7】並列的に実行することが大切

パワハラは、短期間で解決することが大切です。ですから、できることは同時に、並列的に実行していきましょう。

被害メモを取ってから、労働局に相談に行くのではありません。被害メモを取りつつ、労働局に相談に行くのです。そうすれば、どのような証拠を取ればよいのかについて、現在進行形で指導を受けることができます。

労働局に相談してから人権擁護委員に相談するのでもありません。労働局に相談しつつ、人権擁護委員に相談するのです。人権擁護委員から、「労働局に相談してください」と言われたら、そうすればよいのです。

上司に相談ができるなら、労働局に相談しつつ、上司にも相談をするのです。

何が功を奏するかは、事前にはわかりません。ですから、今できることは全部同時に並列的に実行すればよいのです。

私達は、どの解決策が効果的だったのかを知る必要はありません。パワハラが解決すればそれでよいのです。1つ1つの解決策について検証する必要は全くないのです。ですから、全部同時に実行すればよいのです。

時間が経てば経つほど、解決は難しくなっていきます。ですから、今、実行に移せる解決策は全部同時に実行するようにしてください。

 

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パワハラ解決の基礎知識ーはじめに(目次)
目次 はじめに 第1章 パワハラは、法律上の用語ではない 第2章 パワハラの定義 第3章 パワハラの証拠集めが必要な理由 第4章 パワハラの証拠の集め方 第5章「パワハラ解決」とは何か 第6章「目的」と「状況」によって、取るべき手段は異なる 第7章 取るべき手段を実行できない理由 第8章 パワハラは学習性無力感を生む 第9章 リスクに備える 第10章 アサーションを身に付ける 第11章 パワハラ後遺症に対処する おわりに 【はじめに】 「パワハラ解決の基礎知識」のページでは、パワハラに関する心理・法律・経済を含む、総合的な基礎知識を取り上げます。 その中でもこの「はじめに」ページでは、各ページの要約が書かれています。 2018年9月11日現在でパワー・ハラスメントは、法律上は定義されていません。そのため、パワハラに該当することによって、何かしらの法的効果が発生するわけではありません。パワハラに該当するからではなくて、他の法律要件に該当するから、法的効果が発生するに過ぎません。 法律上の定義がないため、各行政が独自にパワー・ハラスメントを定義しています。現在、パワハラの定義でもっとも有名なものは、厚生労働省の定義です。 行政が出している定義に該当することによって、何かしらの法的効果が発生するわけではありません。しかし、パワハラ解決に向けて行政を動かすには、少なくともその行政が出しているパワハラの定義に当てはまらなければなりません。 そして、行政を動かすために、パワハラ被害に遭っていることを示す証拠が必要となるのです。厚生労働省に動いてほしい場合は、厚生労働省が出すパワハラの定義に該当すると証明するものが必要となります。法務省に動いてもらいたい場合も同じです。 そこで大切となるのが、パワハラの証拠の集め方です。パワハラにはさまざまな類型がありますが、その類型によっては証拠を集めにくいものも多く、戦略的に集めていく必要があります。

 

投稿日:2017年5月22日 更新日:

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