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パワハラといじめの違いは何か?

投稿日:2017年4月23日 更新日:

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パワハラといじめの違いは何でしょうか。

定義をもとに、その違いをご説明します。

【1】いじめの定義

まずは、いじめの定義です。

「いじめ」は、法律で定義されています。

いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)という法律です。

一番のポイントは、「当該行為の児童等が心身の苦痛を感じているもの」というところです。

当該行為の児童等の主観によって、いじめかどうかの判断になるのが大きな特徴です。

(定義)
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337278.htm

 

【2】パワハラの定義

パワハラには、法律上の定義がありません。

そのため、パワハラに関係する行政機関が各自、独自のパワハラの定義を出しています。

その中でも最も有名な定義は、厚生労働省のパワハラの定義です。

この定義のポイントもやはり、文末にあります。

「精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」というところです。

つまりこれは、加害者側の行為によって、パワハラかどうかが判断されることになります。

被害者側の主観ではなくて、加害者側の行為を客観的に判断することになります。

職場のパワーハラスメントとは

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/definition/about

【3】いじめの定義による、行政の対応の違い

いじめは、「当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」とされています。

逆に言えば、当該児童等が心身の苦痛を感じていないならば、いじめには該当しないことになります。

そのため、当該児童等から「いじめ」と主張されることが決定的に大切となります。

主張がなければいじめであるかどうかの検討はされにくい反面、いじめだと主張されたら対処等(調査等)を取らざるを得なくなります。

次の条文は、学校および学校の教職員が、「いじめを受けていると思われるとき」に「適切かつ迅速に」「対処する責務」を負うことを明言しています。

被害者側から「いじめを受けている」との主張がなされたら、当然にこの「いじめを受けていると思われるとき」に該当するはずですから、やはり対処せざるを得なくなるのです。

(学校及び学校の教職員の責務)
第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

 

一方で、パワハラかどうかは、客観的な判断が重視されます。

そのため、原則として、パワハラだと主張する側が、加害行為がパワハラに該当することを証明しなければなりません。

このため、あなたがパワハラだと主張しても、行政が積極的に動くことはありません。

ですから、パワハラ問題において行政を動かしたいときは、しっかりと証拠を集めることと、積極的に動いてほしいとの主張が必要となります。

あなたの積極性が、パワハラから脱出するためのカギとなるのです。

パワハラだと主張し、その証拠を集めるのは、大変な労力や恐怖との戦いが必要です。

ですが、現時点ではそれをせざるを得ません。

【4】いじめとパワハラの違いのまとめ

いじめは法律によって定義がなされていますが、パワハラはなされていません。

いじめは児童の主観によって判断されますが、パワハラは客観的に判断されます。

これらの違いによっていじめは、児童がいじめだと主張した場合、行政機関は対応せざるをえません。

一方で、パワハラの場合は客観的な証拠を集め、パワハラだと主張しなければ行政機関は対応しません。

パワハラはとても心身ともに辛いものですが、あなたが動かざるを得ないのが現状です。

無理をなさらない程度に、しかし着実に証拠を集める行動を続けてください。

 

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