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パワハラの証拠の現実的な集め方

投稿日:2018年10月30日 更新日:

あなたの望む「解決」がどのようなものであれ、「証拠」と「味方」が必要です。

加害者を異動させたい場合でも、ただパワハラ行為を止めさせたい場合でも、「証拠」と「味方」が必要となります。

このうち証拠の集め方について、証拠作成の専門家である行政書士として解説をします。

【1】パワハラの証拠の現実的な集め方

証拠を集めるときは、まず被害メモを取ることから始めましょう。次の内容を書き留めるのがベストです。

内容
いつ 2018/10/30 AM09:54
どこで 給湯室
誰から Xから
どのような言動を受けて 「この性悪女が」と怒鳴られた
どのような気持ちになった 怖くなった
その場に誰がいたか Y、Z

【2】その場でメモを取る

録音・録画ができるのが一番ですが、最初は怖くてできないでしょう。

まずはその場でメモ帳を取り出して、メモすることを行ってください。

パワハラ行為が行われたら、その場でメモ帳を取り出します。

そして、加害者の指導内容をメモするように見せながら、被害内容をメモするのです。

加害者の言動についてはカギ括弧をつけて、そのままメモしましょう。

証拠はリアリティ(真実らしさ)が何よりも重要です。

【3】帰宅途中にメモを取る

その場でメモを取るのが怖い場合は、帰宅途中、または帰宅後にメモを取りましょう。

おそくてもパワハラ被害に遭った当日、または寝るまでにメモを取るようにしてください。

手書きでも、パソコン(スマートフォン)でも構いません。スマートフォンを使うなら音声入力を使うと、入力が楽になります。

いずれにしても証拠で重要となるのはリアリティ(信ぴょう性)です。

そして、リアリティは詳細さから生まれます。

詳細に書くには、当日中に書くのが一番です。

【3】スクリーンショット、写真を撮る

手書き、パソコンのいずれの場合でも、被害メモを写真に撮っておくようにしましょう。こうすることで、写真の作成日時が記録に残るようになります。その当日に作成したものである証明がしやすくなります。

パソコンの場合はスクリーンショットを撮りましょう。

特にパソコンなどで被害メモを取っている場合は、改ざんを疑われることがあります。その疑いを消しやすくするためにも、写真やスクリーンショットを保存しておきましょう。

【4】Twitterの非公開アカウントを利用する

Twitterの非公開アカウントは、被害メモを集めるのにとても役立ちます。

Twitterは作成日時、内容がすべてウェブ上に保存され、改ざんができない仕組みです。さらに全ツイート履歴をダウンロードすることができます。

投稿日時、投稿内容をTwitter社が証明してくれるのです。

また、現時点では全ツイート履歴をダウンロードすることができます。(現時点では、画像はダウンロードできない)

Twitter社が投稿日時を保存してくれているので、スクリーンショットを取る必要もありません。

もちろん、匿名アカウントですから、最終的にはそのアカウントがあなたのものであることを証明することが必要となります。しかし、それは難しいことではありません。

【5】名誉棄損にならないようにする

ツイッター上で被害メモを取るときは、名誉棄損にならないように注意をしましょう。

非公開アカウントにして、誰にもフォローさせないようにしてください。

自分が誰かのフォローをするのは構いませんが、他の人に被害メモの内容が見えないようにしましょう。

フォロアー数の推移は、3ヶ月以内なら、ツイッターのアナリティクス「オーディエンス」で証明できます。このスクリーンショットを取っておけば、ひとまずは安全です。

【6】録音・録画を試みる

被害メモは、いずれにしてもあなたが取った記録であり、主観が多く入っています。どれだけ詳細に記載をしても、信ぴょう性という面では弱いのです。

ですから、録音・録画を取ることをお勧めします。

ボイスレコーダー、スマートフォンのどちらでも構いません。

ただ私はボイスレコーダーをお勧めします。スマートフォンでは長時間録音が難しいからです。

いつパワハラ被害に遭うのかを予測するのは困難です。ですから、ボイスレコーダーはずっと録音状態にしておいたほうがよいのです。

これをするには現時点ではスマートフォンは難しいため、ボイスレコーダーをお勧めします。

【7】録音・録画をしてもメモは取っておく

録音・録画をしても、被害メモは取るようにしましょう。

録音・録画の中から、該当場所を探すのはとても困難だからです。

長時間録音をしているときは、なおさらです。毎日何時間にも及ぶ録音をして、それが何日もあるときに、その中から問題となる行為を見つけるのは現実的に不可能に近いものがあります。

そこで、被害メモが役立つのです。被害メモにパワハラ行為の概要と日時が記載されていれば、録音・録画の内容確認をする範囲十数分程度の間に絞り込むことができるようになります。

つまり、索引(インデックス)として使うために、被害メモは取っておくようにしましょう。

【8】被害メモと録音・録画の両方があるほうがよい

録音・録画があり、被害メモがある場合、録音・録画は被害メモの信ぴょう性を高めることにもつながります。被害メモに書かれている内容は、信ぴょう性が高いと思ってもらいやすくなるのです。

ですから、被害メモと録音・録画は両方取るようにしましょう。

しかし、最初は被害メモから始めましょう。録音・録画に対しては心理的抵抗が強い人が多いためです。

【9】動き続ける人が助かる

被害メモも録音・録画もせずに、耐え続けることだけはやめましょう。

耐え続ければ、パワハラは必ずエスカレートします。あなたが異動になるか、退職するかまでエスカレートし続けます。

パワハラ問題は動き続ける人が助かりますから、動き続けましょう。

まずは被害メモを取ることから始めてください。証拠を取ることに慣れてきたら、録音・録画も試みましょう。

今回の記事が、少しでもあなたの状況改善に役立てば幸いです。

 

なお、今回の話はパワハラの定義を知っていることが前提となっています。

「パワハラ」の定義については、下記のページでご確認ください。

第1章 パワハラは、法律上の用語ではない:行政書士による法的解説
被害者は法律上、民事、刑事、行政上の責任追及が可能です。ただし、それはパワハラに該当することを理由に請求するのではありません。民事責任を追及する場合には、例えば債務不履行責任、または不法行為責任などを追及します。刑事上の責任を追及する場合には、たとえば侮辱罪、名誉棄損罪、暴行罪、傷害罪などを追及します。そして、行政上の責任追及とは、たとえば医師や歯科医師などの免許を持つ人が加害行為をした場合、その免許資格はく奪などを追及することができます。 パワー・ハラスメントは、法律上の用語ではありません。そのため、パワハラに該当するからといって、損害賠償請求ができるとは限りません。同様に、パワハラに該当することをもって、告訴・告発ができるわけでもありません。 しかし、これらの責任追及ができるのは、パワハラに該当するからではなくて、それぞれの責任追及の条件に合致するからにすぎません。別の言い方をすれば、民事、刑事、行政上の責任という法的効果を発生させるための法律要件を満たすから、責任追及ができるようになるだけです。 【1】パワハラは、法律上の定義ではない 法律上の効果を求められるのは、その法律要件を満たしている場合だけです。たとえば、セクハラは法律上は次のように定義されています。 セクシュアルハラスメントの略で、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」をいいます。男女雇用機会均等法により事業者にその対策が義務付けられています。 (厚生労働省 『こころの耳』 セクハラに関してまとめたページ) セクハラについては法律上の定義がなされており、その定義に該当する行為が行われないように、また行われた場合など、事業主に対策が法律上、義務付けられています。 パワハラは、さきほども書いた通り、法律上の定義はされていません。そのため、法律上、事業主はパワハラ対策をする”直接的な法律上の義務”はありません。(安全配慮義務に基づいての、間接的な義務はあります。) 【2】パワハラに関係する、事業主の法的義務

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