パワハラ被害者に対して、
「辞めたほうがいい」と言うのは簡単です。
それができるなら、もうとっくに辞めています。
辞められない事情があるからこそ、
辞めずにいるしかないと思っています。
【1】「辞められない」は思い込みか
「辞められない」は、たしかに思い込みかもしれません。
「私が今辞めると、他の人たちに迷惑をかける」というのも、
実際のところはどうかは、分かりません。
自分がいなくても、職場が困るのは一時的なもので、
それほど困らないかもしれません。
しかし、それが思い込みであるかどうかを確かめる術も
ありません。
もし、心のブロックであるなら、
それが単なる思い込みだということには、
自分で気づくしかありません。
思い込みは、合理的判断だけでは壊せないからです。
【2】現実に生じている障害
もし、辞められない理由が思い込みだと気づき、
辞めても問題ないと気づけたなら、
それだけで辞めることができるでしょうか?
多くの場合、そんなことはありません。
現実的に、辞めるのが難しくなる理由があるものです。
たとえば、次の就職先が決まっていないこと。
または、十分な預貯金がないこと。
このような金銭面が、多くの場合ネックとなります。
たとえば、
「パワハラ加害者が威圧的な性格で、退職の意思を伝えるのが怖い」
という心理的な障害を乗り越えたとしても、
お金が入ってくるようになるわけではありません。
心理的な障害と、金銭的な障害は別の障害として、
しっかりと取り組まなくてはならないのです。
【3】辞めるためには、全部の障害に取り組まなくてはならない
なぜ、カウンセリングだけでは不十分かと言えば、
心理的な障害を乗り越えたとしても、
辞めることはやはりできないからです。
辞めた方がいいと分かっていても、
金銭面がネックとなって辞められない人は、数えきれないほどいます。
また、契約期間という法律によって
辞めることができない人もいます。
「辞めたほうがいい」というのは簡単ですが、
これらの障害を全部克服するのは、
簡単なことではありません。
だからこそ、パワハラ問題は、
それぞれの分野の専門家が対応するだけでは足りず、
これらの障害を同時並列的に取り扱える、
パワハラ問題の専門家が必要なのです。
ですから、もしあなたがパワハラに遭ってしまっているなら、
これらの問題を同時に扱える人を、探すようにしてください。
もしあなたの知っている人でそういう方がいらっしゃらないなら、
一度、私にご相談いただければと思います。