今年が始まって1ヶ月も経っていません。
しかし、早くも今年最大のホラーが生まれました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170123-00000015-khks-soci
【1】告発相手に、内部告発文書が実名で届く。
たとえばあなたが法務局に勤める職員で、
直属の上司のパワハラ行為について、
勇気を振り絞って、
大臣あてに内部告発をしたとします。
その告発文書が、まわりまわって、
その告発相手の上司の手元にあったら、
どう思うでしょうか?
これと同じようなことが起きたのです。
そして、驚くべきことに、起きた場所は
更生保護施設です。
【2】再出発を支える施設で、パワハラ問題が起きている。
実際に起きた事案は、もう少し複雑です。
まず、事件が起きた場所は更生保護施設です。
更生保護施設~再出発を支える人たち~
犯罪をした人や非行のある少年の中には,頼ることのできる人がいなかったり,生活環境に恵まれなかったり,あるいは,本人に社会生活上の問題があるなどの理由で,すぐに自立更生ができない人がいます。
更生保護施設は,こうした人たちを一定の期間保護して,その円滑な社会復帰を助け,再犯を防止するという重要な役割を担っています。
人々の再出発を支える施設で、
施設長によるパワハラ行為が疑われました。
【3】施設長による、パワハラ疑惑が起きている。
施設長は15年4月、職場で元補導員の男性に退職を強要するなどのパワハラ行為をしたとして、男性から慰謝料などを求める訴訟を仙台地裁に提起された。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201701/20170123_13015.html
この訴訟に、元指導員の提訴に、
証人として協力したのが、幹部職員です。
施設長は2015年4月、職場で元補導員の男性=今年3月に定年退職=に退職を強要するなどのパワハラ行為をしたとして、男性から慰謝料などを求める訴訟を仙台地裁に提起された。
幹部職員は今年5月、原告側の証人として出廷し、「施設長から退職を迫られた職員は他にもいる」などと証言した。訴訟は同年6月末、原告側が慰謝料請求などを放棄した上で「法人は今後、パワハラと受け取られるような行為がないよう注意し、職場環境の改善に努める」などの条件で和解が成立した。
複数の法人関係者によると、施設長は翌7月、幹部職員に対し、法廷で証言したことなどを理由に「事実に反する内容の羅列で当職を侮辱し、名誉を侵害した。告発、告訴を検討している」と文書で伝えた。
幹部職員は、その後も施設長から文書と同じ内容の発言を繰り返されたといい、「再三の脅迫で精神が安定しない」として1カ月間の通院や休養が必要になったという。http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161216_13024.html
つまり、こういうことです。
- 2015年4月 元指導職員が、施設長に対して、損害賠償請求訴訟を提訴。
- 2015年10月 幹部職員が、法務大臣宛てに、施設長の行動を問題視した請願書(内部告発文)を郵送。
- 2016年5月 幹部職員が、元指導員側の証人として出廷。パワハラと受け取られるような行為がないように注意し、職場環境の改善に努める」などの条件で、和解が成立。
- 2016年7月 施設長は、法定で証言したことや、請願書(内部告発文)を示して、幹部職員に対して、「告発、告訴を検討している」と文書で伝える。
和解が成立した後に、証人として出廷した幹部職員に対して、「告訴、告発を検討している」として圧力をかけています。
この時点で、考えられない事態です。
しかし、この間にもっと異常なことが起きています。
幹部職員が、法務大臣宛てに出した請願書(内部告発文)が、
問題行動の主体である施設長に渡っているのです。
内部告発した文書が、相手に渡っていて、
それを示されて「告訴、告発する」と言われているという、
異常事態です。
【4】幹部職員が、法務大臣に内部告発をする。
請願書(内部告発書)は、次のようなルートを取りました。
- 2016年10月 幹部職員は、法務省大臣に向けて、施設長の言動について内部告発をする。
- 法務大臣は、内部告発文書を、更生保護施設の監督庁である、仙台保護観察所に回送。
- 告発文を受け取った仙台保護観察所の所長は、その告発文を更生保護施設に提供。
仙台保護観察所は、更生保護施設の監督省庁です。
その保護施設から、なぜか請願書(内部告発所)のコピーが、
更生保護施設に、なぜか渡されています。
【5】請願書(内部告発書)が、施設長に渡る。
そして、その請願書(内部告発書)を、施設長は手にします。
手にした経緯については、次のように書かれています。
施設長によると、2015年11月ごろ、観察所の吉田千枝子所長から「理事長に渡して」と封筒に入った請願書を手渡されたという。施設運営法人の鈴木昭一郎理事長宅に持参し、請願書への答弁を書くため借りたと説明した。
一方、吉田所長は20日、取材に「所長室に理事長を呼び、封筒に入れた請願書を手渡した」と反論。鈴木理事長は「所長から呼び出されたことも、請願書が入った封筒を所長本人から受け取った事実もない」と否定した。http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161221_13007.html
- 受け取った施設長本人 → 保護観察所の署長から、手渡しを受けた
- 渡した側の所長 → 理事長を呼び出し、理事長に渡した
- 理事長 → 呼び出されてないし、手渡しも受けていない
受け取った本人が、直接受け取ったと言っています。
これ、どう考えても、所長が施設長に渡していますよね。
だって、受け取った施設長が、そういっているのですから。
仙台保護観察所の吉田千枝子所長との主なやりとりは次の通り。
-宮城東華会の男性幹部職員が昨年10月、法相に宛てた請願書の取り扱いは。
「監督官庁の当観察所に回付され、すぐに法人の鈴木昭一郎理事長にコピーを渡した。黒塗りなどはしていない。施設長に文書を渡したことは理事長としていかがな判断かと思うが、結果として私に責任がある」http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161220_13039.html
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161220_13039.html
しかし、所長は、認めていません。
あくまでも理事長に渡したし、
理事長が施設長に渡したことが問題だと言っています。
【6】内部告発と書かれた文書でも、「内部告発を思わなかった」
そもそもの問題は、内部告発文書を、わざわざその施設にまわしたことです。
なぜ、仙台保護観察所から、厚生保護施設に、内部告発文書を回したのでしょうか?
運営法人に渡した理由は。
「職場環境を整えるには、文書の内容は必要な情報だと思った。請願書は3通あった。黒塗りなどをすると、誰が何を言っているのか分からなくなると判断した」http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161220_13039.html
これもおかしな論理です。
もともと、施設長と、元指導員の間で裁判が行われていたのです。
そして、訴えられた施設長と、保護観察所の所長は、もともと先輩後輩です。
告発対象の施設長は元観察所長。関係者の間には「職場の先輩に便宜を図った」との疑心が広がっている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170123-00000015-khks-soci&p=1
そして、保護観察所と、保護更生施設は、連絡を密にしています。
仙台保護観察所の吉田千枝子所長は「施設長に渡るとは思わなかった」と釈明するが、法人関係者は「観察所と施設は日頃から連絡を密にしており、理事長に渡せば施設長に流れることは予測できたはずだ」と批判する。http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161220_13040.html
当然ですが、施設長が、元指導員から提訴を受けていたこと、施設長が証人として出廷したことも知っていたはずです。
施設でパワハラが問題となっていたことも、当然に知っていたでしょう。
この保護観察所長と、更生保護施設長は後輩・先輩で、普段から連絡を密にとっている人達です。
その上で、改めて、読んでいただきましょう。
運営法人に渡した理由は。
「職場環境を整えるには、文書の内容は必要な情報だと思った。請願書は3通あった。黒塗りなどをすると、誰が何を言っているのか分からなくなると判断した」http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161220_13039.html
パワハラをしたとされる更生保護施設長に対して、
保護観察所長は、職場環境を整えるために必要な情報として、
請願書(内部告発書)を手渡したわけです。
ただ、これについては、「内部告発だとは思わなかった」と主張しています。
吉田所長は「内部告発とも公益通報とも思わなかった」と弁解するが、文書には「内部告発」の4文字がはっきりと記され、職場環境の改善を訴える内容がつづられていた。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170123-00000015-khks-soci&p=2
【7】施設長は解雇される予定だったが、自主退職となった。
ここまでをまとめましょう。
- 施設長が、元指導員にパワハラをした。
- 元指導員は、施設長を相手取り、訴訟を起こした。
- 幹部職員は、元指導員の証人として、出廷した。
- 元指導員と、施設長の間の訴訟は、和解にて終了した。
- 幹部職員が、法務大臣に請願書(内部告発書)を郵送した。
- 法務大臣から、請願書が保護観察所に請願書を送付した。
- 保護観察所長が、元先輩である施設長に、請願書を送付した。
- 施設長は、幹部職員に対して「告訴する」などを圧力をかけた。
これだけでも十分におかしな話なのですが、さらに続きがあります。
運営法人はこうしたトラブルを重く見て今月上旬、施設長に解雇を通告した。鈴木理事長と副理事長も辞任する方針。http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161221_13007.html
更生保護施設は、施設長に対して解雇通告しました。
しかし、施設長は、解雇通告を受け入れませんでした。
施設長は通告から5日後、解雇は不当だとして、地位保全の仮処分を仙台地裁に申請。複数の関係者によると、法人が施設長の解雇処分を撤回するなどの内容で合意し、和解が成立した。当初は1月10日付で解雇する予定だった。http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201701/20170123_13015.html
解雇通知を受け入れず、むしろ地位保全の仮処分を申請したわけですね。
宮城県内唯一の更生保護施設「宮城東華会」(仙台市太白区)の男性施設長(65)が施設の運営法人から解雇を通告された問題で、法人が解雇処分を撤回したことが22日、分かった。3月末で「自主退職」扱いにするという。http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201701/20170123_13015.html
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201612/20161220_13039.html
法人関係者は「結局、訴えた者勝ち。(仮処分の動向次第で)提訴を示唆する施設長の圧力に屈したのではないか」と玉虫色の決着を批判する。http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201701/20170123_13015.html
自主退職ですから、ここはわかりませんが、
きっと退職金が出るのでしょうね。
【8】パワハラ加害者の異常性が、よく分かる事例
施設長は、パワハラを行っていたことは、
まず間違いないでしょうね。
だって、元指導員と和解したあとに、証人として出廷した幹部職員に対して、
「告訴する」と告げていたわけです。
そして、保護観察所の所長も、パワハラ問題を抱えている可能性は高いと思います。
訴訟を受けた先輩に対して、どう考えてもその訴訟と関連する内部告発書を渡すのですからね。
これが、法務局の関連機関で行われていたという事実。
これ以上のホラーがあるでしょうか。