担任によるいじめがあったと、
学校側が認めました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170213-00001864-cbcv-soci
担任による「いじめ」が許されるはずがないことは当然です。
ただ、それを直接的に禁止する法律は、ありません。
いじめ防止対策推進法は、被害者、加害者ともに「児童等」であるとしているからです。
【1】いじめ防止対策推進法の定義
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
要点を簡潔に言えば、担任によるいじめも、担任へのいじめも、
この法律における「いじめ」の定義には当てはまりません。
【2】定義に当てはまらないから、重大事態への対処も不要
「いじめ」の定義に当てはまらないのですから、
いじめが発生したことにはなりません。
そのため、いじめが発覚した場合などの対処も不要となります。
今回も、児童一人の命がなくなっているのですが、いじめ防止対策推進法の「重大事態」には該当しません。
そのため、重大事態の事実関係を明確にするための調査も不要となります。
第五章 重大事態への対処
(学校の設置者又はその設置する学校による対処)
第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。
3 第一項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。
【3】担任も加害者に含めるべき
いじめ防止対策推進法の第一条に、目的が書かれています。
(目的)
第一条 この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。
いじめを受けた児童等のために作られた法律であるなら、
加害者が児童等に限定される理由はありません。
むしろ、学校教育現場で最大の権力者である、
教師によるいじめこそ、禁止しなければならないはずです。
目的から考えれば、教師によるいじめも、「いじめ」にする必要があります。
今回の一件は、いじめ防止対策推進法上の「いじめ」には該当しません。
そのため、設置者等による事実関係の調査も行われないでしょう。
しかし、それでよいのでしょうか。
少なくとも、今回の悲しい一件で、
法律改正の必要性がわかったのではないでしょうか。
今回の事件について、今後、チェックをしていきたいと思います。