パワハラ被害に遭い続けると、”何をしてもうまく行かない”という経験がたまっていきます。証拠を集め、味方を増やしても、何も状況が変わらない日々が繰り返されます。そうすると、もう解決に向けた行動を取ることさえしなくなってしまいます。
私が恐れるのは、この学習性無力感の状態です。
— みっく:パワハラ解決アドバイザー (@artof_challenge) April 15, 2020
パワハラ問題解決の基本方針は「証拠を増やす」「味方を増やす」です。
この2つの方向に進んでさえいれば、前進しています。
しかし、証拠は簡単には増えません。味方はもっと増えにくいでしょう。
前進している感覚が得られず、苦痛から逃れられる希望が持てなくなりがちです。
「何をやっても意味がない」と学習性無力感に陥ってしまうのも、仕方ないことです。
しかし、学習性無力に陥ると、状況改善に向けた行動を取れなくなります。
パワハラは、放置して状況を改善するものではありません。
つまり、解決に向けた行動が取れなくなった時から、状況が少しずつ悪化することが確定してしまいます。
行動を起こし続ける人が助かります。動き続ける人が助かります。
しかしパワハラ問題について、直接的な解決行動を行うことは難しいでしょう。学習性無力感になって行動が制限されてしまっているからです。
ですから、今自分が解決できる問題に取り組みましょう。
【1】パワハラ問題解決の基本方針
問題解決のパワハラ問題解決の基本方針は、次の2つです。
1 証拠を増やす
2 味方を増やす
パワハラ問題では、証拠は必須です。証拠がなければ、自分が被害を受けていることさえも信じてもらえません。被害を受けていることを理解してくれる人でも、あなたがどれだけ辛いかを理解してもらえません。「あなたにも悪いところがある」と言われるなどの、2次被害にも遭いやすくなります。
証拠の量が多ければ多いほど、質が高ければ高いほど、あなたの現状を周囲に理解してもらいやすくなります。ハラスメントによって、あなたがどれだけ苦しんでいるかが、正確に周囲に伝わるようになります。
また、味方を増やすことも必須です。味方が増えれば増えるほど、問題解決の幅が増えます。加害者個人に対して働きかけができるかもしれませんし、あなたの代わりに証拠を取ってくれる人も出てくるかもしれません。コンプライアンスや人事などの調査に対して、あなたが被害に遭っていたことを伝えてもらうことも可能となります。
証拠も味方も、多ければ多いほどいいんです。
証拠が増えているなら、もしくは味方が増えているなら、状況がよくなる方向に進んでいます。
【2】証拠も味方も増えにくい。
しかし、証拠は簡単には増えません。パワハラ被害のメモを取ってる人は、かなり少数です。録音をしている人は、さらに少なくなります。
日常生活で、録音というのはあまりしないものです。録音するという行為に対して、嫌悪感を持ったり、もしくは躊躇したりする人は多いのです。
被害メモを書くことに対しては、躊躇する気持ちよりも、苦痛がハードルとなります。自分が嫌がらせを受けている状況を思い出して記録するのは、精神的に苦痛なのです。
味方はもっと増えにくいでしょう。
パワハラ被害にあっていると、一般的には孤立させられます。心理学的には「公平世界仮説」というものがあり、これにより被害者被害が生まれると言われます。「火のないとこには煙が立たない」という偏見から、「被害者にも非がある」と思われやすいのです。そのため、被害者が味方を作ることは決して簡単なことではありません。
そのため、解決に向けて行動をしても、前進している感覚が得られにくいのです。
「何をやっても意味がない」と学習性無力感に陥ってしまうのも、仕方ないことです。
しかし、学習性無力に陥ると、状況改善に向けた行動を取れなくなります。
【3】パワハラを放置しても、状況は改善しない
パワハラは、放置して状況を改善するものではありません。
むしろ、パワハラはエスカレートしていきます。味方が減るからです。
職場内において味方が減れば、減るほど、加害行為はエスカレートしていきます。
加害者は自分が正しいという信念を強め、周囲は「火のないところに煙は立たない」という信念を強めます。
被害者もパワハラ行為によってミスが増え、それによって「自分が悪いのではないか」と思い始めます。ミスによって周囲にも迷惑を掛けるようになりますから、状況は悪くなる一方です。
つまり、解決に向けた行動が取れなくなった時から、状況が少しずつ悪化することが確定してしまいます。
【4】行動を起こし続ける人が助かる
行動を起こし続ける人が助かります。動き続ける人が助かります。
パワハラ問題解決に向けた行動をとればとるほど、状況はよくなります。
最悪の事態を想定して、その事態にならないように最短で意思決定を行っていくことが大切です。
危機においては、現在持っている情報内で、起こりうる最悪の事態を想定し、それを回避するための行動をとっていくのが最善なのです。
危機においては、判断留保をする時間はありません。最悪の事態にならなければ「それでよし」として、行動を行っていくべきです。
【5】自分が今、解決できる問題の解決に取り組む
しかしパワハラ問題について、直接的な解決行動を行うことは難しいでしょう。学習性無力感になって行動が制限されてしまっているからです。
ですから、今自分が解決できる問題に取り組みましょう。
直接的な問題からは、意図的に目をそらすのです。
パワハラ被害から生まれている副次的な問題が、たくさんあるはずです。例えば、部屋が乱れてきているかもしれません。本を読む量が、減っているかもしれません。睡眠時間がどんどん短くなってきているかもしれません。
そのような副次的な問題で、いま自分が取りかかれるものに取り組んでみてください。
もし副次的問題に取り掛かるのも億劫なら、他の問題でも構いません。机の上が散らかっているの整頓したり、クリーニングに出せずにいるものをクリーニングに出しに行ったり、支払いを忘れていった公共料金を支払ったり、自分の中にある小さな重りを取り除きましょう。
小さな問題が解決すればするほど、自己効力感を取り戻しやすくなります。
無力感を取り除くためには、自己効力感を高める必要があります。
自己効力感を高めるのに、最も確実な方法は「成功体験」を積むことです。
小さな問題をたくさん解いて、自己効力感を高めましょう。
こうやって少し遠回りをしながら自己効力感を高めることによって、直接的な問題であるパワハラ問題に取り組む力が、少しずつ戻ってきます。
パワハラ問題が直接的な問題だとしても、ずっとそれに向き合う必要はありません。
自分が解決できる小さな問題にたくさん取り込むことによって、自己効力感を回復することが先決となることもあります。
パワハラ問題に取り組む意欲が全くなくなってしまったら、意図的にパワハラ問題からは目を逸らしましょう。
そして身の回りにある小さな問題を一つ一つ解決することによって、あなたが本来持っていった自己効力感を取り戻しましょう。
自己効力感を取り戻した後、改めてパワハラ問題に取り組めばよいのです。