「いい人」であればあるほど、
パワハラから抜け出すのが難しくなります。
そうすると、「いい人」をやめようという主張がなされます。
しかし、そんなに簡単に
「いい人」をやめられるものでしょうか。
私がおすすめするのは、「いい人」をやめることでなく、
会社を辞められる状況を作ること。
このほうが、あなたの人格を変えるよりも、
よっぽど可能性が高いと感じています。
また、この方向性のほうが「いい人」に
向いているのです。
【1】「いい人」が抜け出せない理由
「いい人」は、なかなかパワハラ被害から抜け出せません。
これには、さまざまな理由があります。
- 本心では「仕返し」をしたくない。
- 「仕返し」をするための準備をしない。
- 人に自分のことで迷惑をかけたくない。
- 他の人の立場を思いやる。
- 権利を主張できない。
1つ1つ簡単に観ていきましょう。
【2】本心では仕返しをしたくない。
「いい人」は、仕返しができません。
これは、仕方がないことです。
「いい人」は、「GIVER(与える人)」です。
「与える量>受け取る量」と感じるときが、心地よいのです。
自分は人の役に立っていると感じるとき、
貢献感を感じるときに、
心地よく感じるのです。
そのような人ですから、当然、
仕返しをするのは心地よくありません。
本心では、「仕返し」をしたくないのです。
より正確に言えば、
「仕返しをしたい」と「仕返しをしたくない」という葛藤が
「いい人」以外の人よりも大きいのです。
【3】「仕返し」のための準備をしない
葛藤が大きいので、動くこともしません。
仕返しのための証拠集めもしません。
証拠集めをしたとしても、
その証拠を使う行動に至ることは、ほとんどありません。
もちろん、パワハラに対抗することで
自分が辞めさせられることになるのではないかという、
恐れもあるでしょう。
いずれにしても、
証拠を使うまでに至らないので、
結局は、「耐える」という選択肢を選びがちです。
【4】人に自分のことで、迷惑を掛けたくない。
「いい人」ほど、
自分が困っているときに相談できません。
これは心理学のデータでも、
そのような実証結果が出ているようです。
これは誰でも持つ気持ちだと思いますが、
相手の時間を「奪う」ことに対して、
「いい人」は抵抗感が強いのです。
一方では、自分は「与える人」でありたいという
自負心、プライドがあるのかもしれません。
いずれにしても、
「いい人」ほど人に頼ることができないので、
解決に向けた行動が遅くなりがちです。
【5】他の人の立場を思いやる
電通の悲しい事件を取り上げるまでもなく、
パワハラ被害者には、
他の人の立場を思いやる人が多いです。
たとえば、このような言葉が出てきます。
- 「親族の口利きがあって入社したから、辞められない。」
- 「家族に心配を掛けたくないから、辞められない。」
- 「いま、私が辞めたら同僚の負担が、さらに大きくなる。」
- 「いま、私が辞めたら、取引先の人が困ることになる。」
このように、他人を思いやってしまうので、
「辞める」という選択肢も選びにくくなります。
その結果、「耐える」という選択を選び続けてしまう。
【6】権利を主張できない。
これは多くの人に共通することでもありますが、
「いい人」は権利を主張することも苦手です。
たとえば、私が「有給休暇をとってください。」と言っても、
さまざまな理由をつけて休むまいとします。
自分だけの利益になることを主張することが、
「いい人」はとても苦手のなのです。
ですから、法律に基づく解決を望む人も
「いい人」にはほとんどいません。
損害賠償請求を望む人も、多くはありません。
むしろ、自分に利益がないほうが
法律を使いやすく感じるのが、「いい人」です。
もともと、法律で導ける解決というのは、
誰かが得をするものではありません。
法律の主目的は、損をゼロに戻すことです。
ですから、社会に得を増やそうとしている「いい人」には
あまり向かないものなのです。
【7】「いい人」をやめる必要はない。
このように「いい人」は、「耐える」という選択肢を選びがちです。
そのため、どうしてもパワハラが長引く傾向にあります。
そして、その結果、体調を崩してしまう人も多いのです。
では、どうしたら「いい人」がパワハラから脱出できるように
なるのでしょうか。
そのためのもっとも確実な方法が、
「人助けを副業として行い始めること」です。
【8】「人助け」をすることのメリット
パワハラ被害を受けているときこそ、
「人助け」に力を入れてほしいと思います。
なぜなら、「いい人」は人助けをすることが
自分を好転させることにつながりやすいからです。
- 幸福感が高まる
- 自己肯定感が高まる
- 自己効力感が高まる
人助けは、幸福感を高めます。
これはパワハラ被害を受けているときにはとても大切です。
また、「いい人」の幸福の源は、他者への貢献感です。
その点で、人助けは最適なのです。
また、パワハラ被害者は自己肯定感、自己効力感も下がっています。
簡単に言えば、自分の存在価値を低く見積もるようになっており、
また、自分にできることは何もないと考えるようになっています。
だからこそ、パワハラ被害を「耐える」ということをするのです。
しかし、人助けを行って、
自己肯定感、自己効力感を取り戻すにつれて、
「パワハラを受けた状態でい続けるなんておかしい」と、
思うようになります。
それが、次の行動へのモチベーションに繋がるのです。
もし、あなたが「人助け」をしながら、
パワハラから脱出したいと考えていらっしゃるなら、
きっと、あなたにとってお役に立つと思います。