パワハラ・職場いじめなどを解決するには、
3段階を経る必要があります。
今回は、その第一段階である心理面についてのまとめです。
【1】心理面の問題を克服する。
最初は、心理面の問題です。
ここでの目標は、2つあります。
冷静になることと、自信を持つこと、です。
冷静になるためには、
リラックスの方法を知っている必要があります。
人間は、リラックスしつつ、
感情的になることはできません。
感情と理性は、相反するものなのです。
脳で言えば、
大脳辺縁系優位状態と、
前頭前野優位状態は、両立しません。
ですから、
冷静になるというのは、
いかに前頭前野優位状態にするか、ということです。
これは、
人間の脳のモードでいうと
「休止・計画モード」という状態にすることです。
ただ、冷静になろうと意識するだけでは、
なかなか冷静にはなれません。
ですから、方法を身に付けておきましょう。
【2】冷静になる方法
冷静になる方法は簡単です。
ただ、10~15秒かけて、ゆっくりと深呼吸をすればいい。
人間の脳には、
「休止・計画モード」と、「闘争・逃走モード」があります。
「休止・計画モード」は、リラックス状態で計画を立てるモードです。
「闘争・逃走モード」は、緊張状態で、素早く行動に移すモードです。
パワハラを受けているときは、
日常的に「闘争・逃走モード」にあります。
緊張状態で、考えるよりも動くことが優先される状態です。
逆から言えば、場当たり的に対応するモードです。
そのため、事務ミス、ケアレスミスが多くなり、
さらにパワハラ・職場いじめをされることにも
つながりやすい状態です。
ですから、まずは場当たり的な対応ではなくて、
計画的な対応ができるようにするために、
冷静になることが必要となります。
このときに役立つのが深呼吸で、
心理学の実験で、人間は1分間に4~5回の呼吸にすると、
「休止・計画モード」に入ることが分かっています。
これを1回の呼吸でいうと、
10~15秒かけて、吸って吐いてをする、ということになります。
深呼吸をすれば、
人間は自動的にリラックスモードに入れるのです。
ですから、深呼吸は、古典的ですがとてもおすすめです。
しかし、一般的な深呼吸よりも、
ものすごいゆっくりとしたものであることを、
再確認してください。
さて、
さらに、深呼吸をしながら、
身体の力を抜くようにしましょう。
人間は、息を吸いながらでは、力は入りません。
ですから、息を吐くときだけ身体の力を抜いていくことで、
自然と身体全体をリラックスに導くことができます。
深呼吸と、身体の力を抜くことで、
簡単に、かつ、深くリラックスができるようになりますから、
ぜひ日常から心掛けて下さい。
仕事では基本的には頭を使うことが求められますから、
リラックスすることは、仕事の効率を高めるのにも、
役立つと思います。
これまでの方法により、
脳を休止・計画モード、つまり理性優位状態にしたら、
次は、自信の回復に努めます。
【3】自信の付け方
パワハラ・職場いじめという攻撃を受けて、
自信が高まる人は通常はいません。
緊張状態にありますから、ミスも増えます。
そこでさらに攻撃を受けて、自信を失っていくのが、通常です。
だからこそ、
自己評価を高く保つための技術を
身に付けておく必要があります。
【4】自己評価は、自分ですればいい。
自己評価とは、
その名の通り、自分で自分を評価することです。
ですから、自分で自由に、自分を評価すればいい、
というのが理論的な結論となります。
「自分はすごい人間なんだ」と思えば、それでいいわけです。
ただ、現実的には、自分を高く評価するのは、
そう簡単なことではありません。
私たちは、他者評価を取り入れるのが
習慣となっているからです。
自己イメージ=セルフイメージは、
基本的には他者評価の集まりです。
他人がいう「あなたは○○な人だ」という言動が、
集まってできているのです。
最初は親のいう「賢い子だね」とか、
「バカな子だね」という言葉を取り入れ、
「面白いやつだな」、
「静かだね」という友人の言葉を取り入れ、
「仕事ができないやつ」、
「コミュニケーションが下手なヤツ」という言葉を受け入れて、
自己イメージを作っています。
しかし、他人の言動は、意見にすぎません。
「あなたは、仕事ができない人だ」という言葉を言われたとしても、
事実は、ある人があなたに対して
「あなたは、仕事ができない人だ」と言ったことだけです。
それをあなたは受け入れる必要もありません。
もちろん、それによって心が傷つくのは当然のことですが、
その言葉をあえて取り入れて、自己評価を下げる必要もないのです。
自己評価は、自分で作ればいい。
でも、どうしても他者評価を取り入れてしまいます。
【5】自己イメージ=セルフイメージの作り方
では、どうやって、自己イメージ=セルフイメージを作ればよいのでしょうか。
そのときに役立つのが、セルフトークのコントロールです。
セルフトークというのは、
心の中の声のことを言います。
この文章を読むときに、
心の中で音読していると思いますが、
その心の声のことを、セルフトークと言います。
マンガで吹き出しで表現されるものが、セルフトークです。
セルフトークに関する心理学の実験で、
セルフトークで自分を褒めることは、
他人から褒められるのと同等の効果がある、
というものがあります。
つまり、他人から褒められなくても、自分で自分を褒めることで、
他人から褒められたのと同じ効果があるわけです。
勘のいいあなたはきっとお分かりでしょう。
この効果を活用して、セルフイメージを変えるのです。
セルフイメージは、他人の言動で作られています。
一方で、セルフトークは、他人の言葉と同等のインパクトを持ちます。
ですから、セルフトークで自分に対して
「あなたは○○な人だ」と言うことにより、
あなたの脳は、
他人から「○○な人だ」と言われているような感覚になるのです。
ただ、心の中の声を変えることで、
セルフイメージを変えることができる、ということです。
【6】セルフイメージの威力
しかし、あなたはきっとこう思っているでしょう。
「自分で自分を褒めても、むなしいだけだ。」
これが、セルフイメージの威力です。
無意識は、セルフイメージを保とうとします。
セルフイメージとは、
自分が自分をどう思っているか、です。
言い換えると、
何を「自分らしい」と思い、
何を「自分らしくない」と思うか、です。
もっとわかりやすく言えば、
何を「自分のキャラじゃない」と思うかを決めているのが、
セルフイメージです。
無意識は、このセルフイメージの状態を、常に保とうとします。
反対からいうと、
「自分らしくない」と思うと、
自動的に「自分らしい」状態に戻そうとするのです。
キャラが変わるのを、止めようとする、
と言っても良いでしょう。
心の中の声を変えることが、
自分のキャラじゃないと思えば、
変わるのを拒否するのが、
無意識です。
セルフトークを変える、というのは、
「お前は社長になるべき人間なのだから、
ポンコツ上司の言葉を気にするな」と、
心の中でいうようにするだけのことです。
あなたが心の中で何を言っているかは、
普通の人にはわかりません。
何のリスクもありません。
それでも、セルフトークを変える人は、ごくごく少数です。
なぜかというと、それは「自分のキャラじゃないから」です。
新しいキャラになることのほうが、
無意識にとっては恐怖なのです。
これまでの自分がどうであれ、
これまでの自分のままでいるほうが、
無意識にとっては安心であり、
「自分らしい」のです。
ですから、これまでの自分から外れた言動は、
徹底的にしないようにと、無意識が働きかけてきます。
かなり意識をしなければ、セルフイメージは変わらないということです。
それどころか、
意識しないとすぐに現状のセルフイメージを保とうとしてしまいます。
つまり、自分を低く評価する自分に、戻ってしまうのです。
【7】セルフイメージが変わると、行動も変わる。
逆に言えば、セルフイメージが変われば、
無意識は新しいセルフイメージである状態を保とうと、
自動的に働いてくれます。
「あんな奴の言葉を気にしているなんて、自分らしくない」というセルフイメージができたら、
そのような状態を保つために、自動的に働いてくれるのです。
意識してセルフトークをコントロールしなくても、
自動的にそのようなセルフトークが出てくるようになります。
そして、そのセルフイメージにふさわしい行動を、
自動的にとるようになるのです。
自分を社長になるべき人間だと思ったら、
仕事は自動的に完璧にするようになり、
バカな上司の評価は気にしなくなり、
その上の上司と仲良くなったりするようになります。
これらの行動は、自然と行われるようになります。
つまりは、セルフイメージを変えてしまえば、
必然的に、行動も変わり、結果も変わるということです。
そのセルフイメージであり続けることが、
無意識にとって快適であるようにすれば、
脳はその状態を保とうと自動的に働くのです。
そのような状態にするために、
セルフトークのコントロールを行います。
自分を徹底的に高く評価し、
自分を徹底的に褒めるのです。
そして、うまく行かない時は「自分らしくない」と評価して、
本来の自分はもっともっとできるはずだと、思うようにするのです。
行動はしたくなったらすればいいのですが、
行動することが大切なのではありません。
高い自己評価を持ち、その自己評価の表れとして、
行動をするようにするのです。
自分はもっともっとできるはずなのに、
このような現状にいるのはおかしいと思うから、
今まで以上の行動をとるのです。
自分はダメだから、努力しようというものではありません。
高い自己イメージ=セルフイメージを保つために、
行動を起こすのです。
【8】あるべきセルフイメージは、ゴールから決める。
ただ、問題は、どのようなセルフイメージを持つか、でしょう。
ただ単に、高いセルフイメージと言われても、
ピンとこないはずです。
先に結論を述べてしまえば、
ゴールを達成するのに、あるべき姿こそが、
あなたのあるべきセルフイメージです。
たとえば、あなたの将来の夢が
今の会社の社長になることだとすれば、
今現在、自分がどうあるべきかを考えるのです。
そして、それこそが、今のあなたが持つべきセルフイメージとなります。
ただ、ゴールには2つの条件があります。
1つは「現状の外側」に設定すること、
もう1つは、「WANT TO」であること、です。
現状の外側というのは、
現状維持では、絶対に達成できないと言う意味です。
どうやって達成するかがわからないぐらいのものが、適切とされます。
そして、もう1つは「WANT TO」であること。
達成したいと心から思えるものであることです。
よく「昇進したい」という人がいるのですが、
本当に昇進したいでしょうか。
望んでいるのは昇進ではなくて、昇給であり、
さらに言えば収入アップである人がほとんどです。
これは収入アップを求めるのが悪いという意味ではなくて、
昇進を求めるのではなくて、最初から収入アップを求めましょうということです。
自分が心から達成したいと思うものこそが、ゴールです。
そして、この2つの条件を満たしたゴールを設定すると、
今、自分がどうあるべきか、が決まります。
そうしたら、あなたは自分を、すでに自分がそうであると評価する必要があります。
少なくとも、自分はそのゴールを達成すべき人間であると評価するのです。
そして、同時に、現実はそのような自分になっていないことも認識をすると、
無意識が、自動的にそのギャップを解消しようとしだします。
【9】ギャップの解消方法
無意識が、ギャップを解消しようとするときには、
解消方法は2つあります。
1つは、現状の自分に向かう方向、
もう1つは、ゴールの自分に向かう方向です。
現状の自分に向かう方向というのは、
「そんなゴールは夢物語だ。」
「自分には無理だ。」
と、ゴールを諦めさせる方向です。
もう1つは、
「こんな状態は自分らしくない。」
「私はもっともっと、よい状況にいるべきだ。」
と、ゴールに向かう方向です。
この無意識をどちらに向かわせるかを決めるのが、
セルフイメージに対する臨場感です。
脳は、臨場感の高いセルフイメージを、
脳にとっての現実とみなします。
言い換えれば、臨場感が高い自分こそが、
脳にとっては保つべき「自分」なのです。
あなたが現実にどのような人であるかは関係なく、
あなたにとって、よりリアルな自分が「自分」なのです。
【10】セルフトークのコントロールで、臨場感を上げる。
では、どうやって臨場感を上げるのか。
それが、「セルフトークのコントロール」なのです。
自分で、自分の心の中で、
ゴールを達成するべきセルフイメージこそが、自分だと評価し続けることで、
リアリティが高まります。
もちろん、セルフトークのコントロールは、
ただの呪文ではありません。
言葉を唱えることに意味があるのではありません。
その言葉を心の中で唱えたら、心の中でイメージをし、
そして、ポジティブな感情も引き出すようにする。
そうすると、脳は、その状態をリアルに感じるのです。
言葉だけポジティブにしても、生じるイメージはネガティブで、
生じる感情がネガティブなら、
ネガティブなセルフイメージしか生まれません。
大切なことは、言葉を使うことでイメージや感情を生じさせやすくすることです。
つまりは、セルフイメージをより鮮明に、そしてよりリアルに感じるために、
セルフトークをするのであって、ただの呪文ではないことに注意してください。
【11】ゴール設定-セルフイメージ-セルフトークのコントロール
簡単にまとめると、
まずは適切なゴール設定をする。
そして、ゴール達成にあるべき姿を脳にとっての「自分」とするために、
セルフトークをコントロールしていく。
こうすることで、適切なセルフイメージがつくられて、
自然とゴールに向かうようになる。
そうすると、自然と出てくるのが、
基本的には転職または起業という選択肢です。
同じ場所にいるという選択肢は、通常は消えます。
しかし、経済的な問題が残ります。
そこで、どうするかを考えることになるのですが、
今回は長くなったので、ここまで。
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