パワハラ・職場モラハラの解決において、
もっとも難しいのが周囲の理解を得ることです。
パワハラ・職場モラハラは、
多くの場合、小さな小さな攻撃の積み重ねです。
そのため、その攻撃1つ1つを取り上げると、
一般的には、それほど問題がないように見えてしまいます。
しかし、それこそがパワハラ・職場モラハラの怖いところなのです。
【1】小さな攻撃でも、心は大きく傷つく
仕事上、必要だから話しかけているのに、
無視されたり、顔だけで返事をされたりしたら、
誰でも傷つきます。
その部分だけを切り取れば、
”誰にでも機嫌が悪いときはあるから、
それでハラスメントだと言うのは大げさだ”と、思うでしょう。
しかし、それが加害者の狙いなのです。
自分がしていることは普通のことに見せておき、
悪意・害意を明確にするのではなく、ほのめかすことで、
相手を大きく傷つけようとするのです。
【2】ときどき無視をする人
たとえば、よくあるのが無視です。
しかし、狡猾な加害者は、
完全に無視したりはしません。
加害者の業務に必要な範囲内では、
普通に対応します。
しかし、被害者の業務に必要なときに、
”ときどき”無視をするのです。
質問をすれば「自分で考えたらどうですか」と言われ、
自分で考えて結論を出せば、
「勝手に決めた」と言われます。
どちらにしても、加害者が正しく、被害者が悪いことになる。
これが、加害者の手口です。
【3】加害者の狙いは、心を壊すこと
加害者の狙いは、被害者の精神を壊すことです。
そして、そのために一番簡単な方法が、
常にジレンマに陥らせること。
ダブルバインドとも呼ばれますが、
どちらを選んでも「あなたが悪い」と呼ばれる状況に
追い込むことです。
そして、それはとても簡単なことです。
どんなことでも、悪口・陰口・嫌味の材料になるのです。
つまり、Aをしても、Aをしなくても、
それは攻撃の材料になるということです。
攻撃の材料はどこにでもあり、
いつでも攻撃できる状態にあるわけですから、
人の精神を壊すなんて、やろうと思えば簡単です。
ただ、変質者でない限り、
そのようなことはしたくないからしないのです。
【4】加害者は、反撃してこない相手を選ぶ。
変質者である加害者は、
反撃してこない相手を選んで攻撃しています。
わざわざ反撃する人を選ぶ犯罪者はいません。
ですから、基本的には反論することが、
あなたを守ることにつながります。
問題は、どうやって反論していくかです。
【5】冷静に反論していく
相談をすれば「自分で考えろ」と言いますし、
相談をしなければ「自分勝手に決めるな」と言われます。
相談をした後に提出をしても「もっと自分で考えろ」と言われますし、
相談をして自分で考えて提出しても、「ちゃんと相談しろ」となります。
先ほども書いた通り、攻撃する材料はいくらでもあるのです。
逆にいえば、反論する材料もいくらでもあるわけです。
【6】反論する場合は、事実だけを述べる
「3日ほど前に伺ったときは『自分で考えろ』とおっしゃいました。」
「ご相談を差し上げていましたが、返事をいただいていません。」
「こちらの内容は、以前のご指示に従ったものです。」
「話しかけても目を合わせていただけませんでした。」
もちろん、反論することは大変な恐怖なので、
簡単にできるとは思っていません。
しかし、もし反論をするとすれば、事実だけを冷静に述べることです。
相手の人格については触れずに、客観的な事実だけを述べる。
もしくは、主観的な事実である、自分の気持ちや感情について述べる。
否定しようのない事実だけを述べるようにするのです。
【7】反論が怖くてできない場合は、その場でメモを取る
しかし、普通は反論なんて怖くてできないでしょう。
ですから、まずは被害メモを取ることから始めてみてください。
加害行為があれば、それをその場ですぐにメモを取るようにするのです。
ほぼすべてのパワハラ・職場モラハラは、指導・助言の名目で行われます。
ですから、あなたがそれをメモすることは、不自然なことではありません。
メモを取っていることに文句を言われたら、
「ちゃんと覚えておきたいですので」と言えばいいのです。
メモを取る相手に、悪口・嫌味を言い続けられる人はいません。
【8】些細なことの積み重ねを見せる
被害メモを取る場合は、些細なことを大事にしてください。
小さな攻撃、些細な攻撃こそ、メモをとってください。
加害者は、些細なこと、小さなことの積み重ねで
あなたの精神を壊そうとしてきているのです。
ですから、1つ1つの書き記される事実は、
”たったそれだけのこと”に見えてしまいます。
すると、こんな小さなことを気にしている
自分が悪いのではないかと思いがちですが、
そうではありません。
それが、加害者の狙いなのです。
加害者の狙いをはっきりさせるために、
小さなこと、些細なことこそ、メモしてください。
その量は、きっと膨大な量にのぼるはずです。
その量が大切です。
その量があるからこそ、
それによってあなたがどれだけ傷ついたのかが、
客観的にもわかりやすくなるのです。
【9】防御が攻撃になる
その場で被害メモを取ることは、防御であり、攻撃でもあります。
相手の陰湿な行為を公にするための、強力な手段です。
反論できるならその場で明確に反論するのがよいですが、
できない場合は、その場でメモすることをぜひしてください。
あなたにとっての小さな反撃は、
相手にとっては大きな不安になります。
ですから、ぜひ続けてみてください。
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