『だれもわかってくれない あなたはなぜ誤解されるのか』という本を読みました。
だれもわかってくれない あなたはなぜ誤解されるのか (早川書房)
”加害者は、なぜ決めつけてくるのか”が、
理論的によく分かる良書でした。
日常生活でも、とても役立つ、有益な本だと思います。
ただ、パワハラ被害者には、
あまり役立たないかもしれません。
【1】「認知的倹約家」が、元凶
脳は、手抜きをしたがります。
エネルギーを使いたがらないのです。
その結果、認知もできるだけ簡単に、型にはめて済ませようとします。
これを脳は「認知的倹約家」であると、心理学者は説明します。
これによって生じる認知の偏りを、「バイアス」と言うのですが、
人間は、バイアスだらけです。
あなたがパワハラ被害を受けているのも、
この「認知的倹約家」である性質が、元凶と言えます。
【2】加害者は、被害者に対してレッテルを貼る。
脳は、もともと認知的な資源を節約しようとします。
そのせいで、あなたは、ちゃんと理解されないのです。
加害者は、あなたにレッテルを貼ります。
そして、そのレッテルに沿うような情報だけを集めようとします。
レッテルを検証するようなことは、
よほどのことがない限りはしません。
つまり、一度レッテルを貼られたら、
”よほどのこと”を作らない限りは、レッテルを貼られたままになります。
【3】よほどのことを作るしかない
加害者は、自分がレッテルを貼っていることに、
気付いてさえいません。
そういう色眼鏡を付けているのですから、
そういう世界にしか見えないのです。
その色眼鏡を外させるには、
色眼鏡が明らかに間違っていることを、
証拠として突きつける必要がある。
『逆転裁判」みたいなことをしなければ、レッテルは外れません。
【4】ドアマットのままではいないと、突きつけよう
パワハラ被害者の方にぜひしてほしいことは、
「泣き寝入りはしませんよ」という意志を、
徹底的に突きつけること。
証拠を取り、上司に相談し、パワハラ相談窓口に相談し、
法律家に相談し、労働局に相談すると言う風に、
「どうせ反撃してこない」という思い込みをぶち壊してやること。
ちょっとずつ反撃するのでは足りません。
それでは、加害者がかけている色眼鏡は壊れないからです。
加害者が思っている、あなたのイメージをぶち壊すからこそ、
本当はあなたがどういう人なのかを知ろうとするのです。
そこで初めて、レッテルを剥がそうとします。
逆にいえば、そこまでしないと、
あなたは低く見積もられたままとなってしまいます。
ですから、一度行動を起こすと決めたら、
相手の、あなたに対する思い込みをぶち破るまで徹底的に行動してください。
一気に徹底的に、できることは全部同時に。
それが、あなたへのパワハラ行為を止めさせるために必要な行動なんですよ。