複数の方から、
「結局、労働局は
何をしてくれるのですか?」という
ご質問をいただきました。
先に結論を書くと、
指導・助言です。
つまり、言葉で叱ってくれるだけです。
では、それは意味がないのでしょうか。
そんなことはありません。
どのような制度も同じで、
大切なことはそれをどう使うかです。
【1】労働局は、指導・助言ができる。
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」と、
言う法律があります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO112.html
この中に、次のように書いてあります。
《都道府県労働局長は、・・・(中略)・・・
当該個別労働関係紛争の当事者の双方又は一方から
その解決につき援助を求められた場合には、
当該個別労働関係紛争の当事者に対し、
必要な助言又は指導をすることができる。》
結局、労働局ができるのは、
助言・指導です。
しかも、この指導・助言をするためには、
その解決につき、援助を求めなければなりません。
相談したら、自動的に指導・助言をしてくれることは
ないのです。
なお、指導・助言については、法律上、次のようにも定められています。
《事業主は、
労働者が第一項の援助を求めたことを理由として、
当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。》
労働局を使ったことに対して、
不利益扱いをするなということですね。
【2】行政は、法律で動く
行政は、法律に則って動かなくてはなりません。
法律に書いていないことをすると、
その方が問題なのです。
そうであるならば、
行政に何かをしてほしいなら、
行政がそれをするための
法的根拠が必要だということです。
【3】法的根拠ないことはできない
つまり、行政は法的根拠がないことはできません。
たとえば、あなたが労働局に対して、
警察、検察のように、
会社にパワハラの実態解明に向けて、
強制調査を行ってほしいと思っていても、
労働局は、そんなことはできません。
法的根拠がないからです。
ただ、労働基準法違反がある場合、
強制調査に入ることは、理論上は可能です。
だからこそ、電通の事件は調査が入ったと言えます。
ただ、パワハラそのものを理由として、
労働局が動くことは、ほとんどありません。
【4】相談する意味がないのか
では、労働局に相談するのは無意味なのでしょうか。
まったくそうは思いません。
労働局は、国の機関です。
労働局の行動は、パブリックなものだということです。
あなたの会社に労働局から指導が入ったとします。
しかし、それでも状況が改善しておらず、
むしろパワハラがひどくなったとすれば、
ある程度の企業規模があれば
それはメディアに載るレベルの話です。
これが、あなたが雇った一弁護士から
会社への警告したに過ぎなければ、
それを会社が無視したところで
メディアが動くようなことはありません。
国の機関から指導が入っているのに、
それでもパワハラ行為を続けているからこそ、
メディアにとってもニュースバリューがあるのです。
今までも何度も書いていますが、
大切なことは行動を起こすことと、
その行動の結果を最大限に活かすことです。
労働局に相談しても、
それだけでは解決に至らないかもしれません。
ですが、その事実を活用することはできます。
ですから、相談をしておいてください。
そして、行動記録を残しておきましょう。