私は、定期的に「子ども食堂」というものに参加しています。
もともとは、子どもとつながりが持てたらと思っていただけです。
「子ども食堂」というものは、社会的にも意義ある活動だと思っています。
しかし、意義を感じたのは、参加した後です。
もし、最初から「子どもの貧困」をメインにされていたら、私は参加しなかったかもしれません。
さらに「子どもの貧困」を中心に説得などされたら、なおさら参加しなかったでしょう。
ここに、マーケティングの大切さがあります。
どれほど社会的に意義あることでも、関心がないことをセールスしてはいけないのです。
つまり、マーケティングで重要となるのは、「関心」のマネジメントです。
【1】顧客は何に関心を持っているか
誰でも「売り込み」をされるのは嫌いです。
では、何が「売り込み」であり、何が「サポート」になるのでしょうか。
これは簡単で、「提供される情報に対して、顧客が関心を持っているかどうか」です。
関心があることに対する情報提供は、サポートと受け止められます。
一方で、関心がないことに対する情報提供は、売り込みだと受け止められます。
ですから、関心があるかどうかを見極めることが何より大切となります。
子ども食堂のように社会的意義ある事業であっても、同じです。
妻が行っているスター・ペアレンティング(親教育)というものについても同じです。
パワハラ被害者へのパワハラ職場脱出支援事業も同じです。
顧客にとって関心がない情報は、単なる売り込みになります。
【2】重要な情報が伝わるとは限らない
「すべての価値は、欲望や関心、目的といっ
たことと相関的に(応じて)立ち現れる」西條剛央『構造構成的組織行動論の構想
― 人はなぜ不合理な行動をするのか? ―
西 條 剛 』https://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/32706/1/WasedaKokusaiKeieiKenkyu_42_Saijo.pdf
顧客が関心を持たないことに対して、顧客に価値を感じてもらうことはできません。
これは逆からいえば、あなたがどれだけ重要だと思っていても、その重要性が伝わるとは限らないということです。
私からすると、社会的事業を行う人にこそマーケティングが必要だと思っています。
しかし、私がそれをいくら主張したとしても、それが伝わるとは限らないのです。
価値を伝えたい場合、その価値の重要性を説くよりも、先にするべきことがあるのです。
「その情報に関心を持っていただくこと」です。
【3】どうすれば関心を持っていただけるか
相手にとって重要な情報を伝えたい場合、相手にその情報に関心を持っていただく必要があります。
たとえば、スター・ペアレンティングという子育て方法の価値を知ってほしいなら、まずそれに関心を持ってもらう必要があるのです。
では、どうすれば関心を持っていただけるのでしょうか。
ここでも、西條剛央先生の考察が参考になります。
では、その「関心」は何によって生じるのか。それは「契機」、すなわちなんらかの「きっかけ」があって「関心」を持つようになるのである。
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つまり、その情報に関心を持つようなきっかけを用意する必要があるのです。
しかし、一方で、関心がないことに価値を感じず、伝わりません。
ですから、顧客が現時点で関心を持っている事柄を、きっかけとして用意をする必要があります。
「毎日、子供に怒ってばっかりで疲れている」という経験をしているなら、通常は「子育てから離れて楽をしたい」という関心が生まれるでしょう。
それならば、子育てから離れてゆっくりできる機会を用意してあげればいい。自己紹介や名刺を渡して、スター・ペアレンティングに関心を持ってもらえばよいのです。
【4】「契機-関心-価値」を繋げる
私の場合、もともと子どもとのふれあいの場所に関心があり、チラシを見たことをきっかけ(契機)に子ども食堂に関心(関心)を持ち、子供とのふれあいができる場所として子ども食堂に価値を感じました(価値)。
そして、実際に参加したことをきっかけ(契機)に、子どもの貧困問題にも関心を(関心)持ち、子ども食堂というものの意義(価値)を実感したのです。
契機-関心-価値は、必ず繋がっています。
何のきっかけもなく、何かに関心を持つことがありません。
関心がないものに、価値を感じることもありません。
ですから、あなたが社会に提供しようとするサービスの価値を知っていただくには、まずはそれに関心を持っていただけるようにすることが大切です。
そして、その関心を持っていただくためには、そのためのきっかけを作る必要があります。
契機-関心-価値をつなげましょう。
それは、あなたが貢献したい相手に、あなたが役立つためにやるべきことの1つなのです。
もし、自分でするのが難しいと思う場合は、こちらをご利用ください。
顧客がどのような経験をし、それに伴ってどんなことに関心を持っているか。
そして、その関心に照らして、どのようなことに価値を見出すのか。
その部分をしっかりと把握することが、人を助けることにつながります。
助けたい相手を助けるために、しっかりと契機-関心-価値をつなげましょう。