世の中には、「なんでこの人が昇進できたのだろう」と思うような人が、たくさんいます。
その中には、「陰口」という低レベルなパワハラ行為をしてくる人もいます。
では、上司からの陰口には、どう対処すればよいのでしょうか。
【1】「陰口」は、「精神的な攻撃」という類型のパワハラ
まず、共通認識として、上司からの陰口はパワハラであることを確認しておきましょう。
パワハラの類型で言えば、「精神的な攻撃」に当たります。
なぜなら、《業務を遂行するのに必要な言葉とは通常考えられない》からです。
「やめてしまえ」などの社員としての地位を脅かす言葉、「おまえは小学生並みだな」「無能」などの侮辱、名誉棄損に当たる言葉、「バカ」「アホ」といったひどい暴言は、業務の指示の中で言われたとしても、業務を遂行するのに必要な言葉とは通常考えられません。
このため、こうした暴言による精神的な攻撃は、原則として業務の適正な範囲を超えてパワハラに当たると考えられます。https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/type2
ですので、労働局に相談をすれば、労働局から会社へと指導が入る事例です。
【2】会社は、パワハラ行為をストップさせる義務を負っている
パワハラ行為は、労働契約法第5条等にいう安全配慮義務違反だとされています。
そのため、会社はパワハラ行為により労働者が損害を負った場合、その損害を賠償する責任を負います。
つまり、会社としても放置して得することは何もないのが、パワハラです。
ですから、会社としては、パワハラ行為を発見次第、解決に向けて動かなければなりません。
上司からの陰口というのは、明らかにパワハラ行為です。
ですから、会社は認知をしたら、解決に向けて動く義務があります。
【3】証拠が大切
しかし、会社にとって、上司もあなたも、労働者です。
どちらか一方の主張をうのみにすることはできません。
ですから、あなたは証拠を集めなければなりません。
上司があなたの陰口を言っている証拠を、集めなければならないのです。
しかし、これは簡単なことではありません。
陰口というものの性質上、現行犯はあり得ません。
ですから、間接証拠を積み重ねていくしかないのです。
【4】被害メモを記録していく
では、どうやって間接証拠を集めていくかと言えば、被害メモを取るのです。
上司があなたに対して陰口を言っていると聞いたら、その場でメモ帳を取り出して内容をメモします。
《同僚のAさんから、「上司のXが、『あなたと○○が不倫している。』と大きな声で言っていた。上司に注意をしないと、変な噂が立つよ」と言われた。》と、いうような被害メモを取るのです。
このような記録は、多ければ多いほど、あなたが受けている被害の深刻度が分かります。
ですから、どれだけ小さな陰口でも、バカらしいものであっても、記録に残しましょう。
そうすることで、あなたは会社や労働局を味方に付けやすくなるのです。
【5】十分な証拠を集めたら、一気に責める
あなたが上司から陰口を言われていることが、しっかりとわかる量の被害メモを集めたら、それを使って反撃を始めましょう。
会社のハラスメント相談室があれば、そこに行きます。
ない場合は、労働局に相談に行きましょう。
同時に、専門家へと相談をしておきましょう。
ハラスメント相談室が動かない場合、行政が動かない場合に、専門家が役に立つことがあります。
ですから、念のために専門家に相談しておくのがよいでしょう。
陰口というのは低レベルですが、証拠を集めにくく、対処がしにくい悪質なパワハラです。
また、被害もわかりにくいため、あなたがしっかりと被害を主張する必要があります。
ですから、しっかりと証拠を集めて、処分を求めて動きましょう。
あなたが泣き寝入りはしないという毅然とした態度を見せることが、陰口をやめさせるためには必要なのです。
たかが陰口のために、そこまでするのはバカらしいかもしれませんが、そこまでしないと止めさせられないのが陰口という陰湿なパワハラ行為です。
専門家のサポートを受けつつ、心してかかるぐらいの気持ちでいてください。