パワハラの証拠がないときはどうすればよいのでしょうか?
証拠作成の専門法律職である行政書士が、解説します。
【1】証拠は絶対に必要
パワハラ問題解決には、絶対に証拠が必要です。
なぜなら、証拠がないと、水掛け論になってしまうから。
加害者はパワハラだと思っていないことが多いですし、
パワハラだと分かっていてやっているなら、しらばっくれます。
相手から自白がとれるような部類の問題でもありません。
ですから、客観的な証拠が必要です。
【2】被害メモを取る
最初は、被害メモを取りましょう。
次の厚労省の相談記録票に記載されているような内容を、
メモしておくのが大切です。
【ここから】
①いつ 平成 年 月 日 時ごろ
②誰から(相談者との関係)
③どのような(受けた場所、状況、パワハラと感じた具体的な言動など)
④同席者や目撃者の有無/所属や名前など
https://no-pawahara.mhlw.go.jp/pdf/pwhr2016_manual_ref_11_sodan.xls
【ここまで】
そして、どのような気持ちになったのかも書いておきましょう。
【3】簡易メモ⇒正確なメモ
まずはメモ帳を持ち歩くようにします。
そして、パワハラ行為を受けるたびに、簡易のメモを取りましょう。
《8/26 「役立たずはこなくていいよ」》
《8/30 提出書類「はぁ~」「面倒なんだよ」》
このようなメモを取っておきます。
そして、パソコンを使える状態になったら、分かりやすいメモに直します。
《2016/08/26 14時ごろ 私がXに、Xから依頼されて作った資料を提出すると、資料を一瞥して「全然ダメ。役立たずはこなくていいよ。Y君に頼むから、お前は別の仕事してろ。」と言われた。なぜここまで言われなくてはいけないのか。》
《2016/08/30 10時ごろ、Xから指示を受けた書類を作成し、提出。資料を見ることなく「はぁ~。またお前の資料見なきゃならんの?ちゃんとしたやつ、作ってから持って来いよ。毎回見るの、面倒なんだよ。」と言ってから、資料を見た。毎回、このようなことを言われ、仕事をやる気がどんどんなくなっていく。もう会社にいたくない。》
【4】ボイスレコーダーで録音する。
被害メモは重要な証拠ですが、やはり客観性には欠けてしまいます。
「そんなこと言っていない」と言われることが多いので、
客観的な証拠も必要となります。
そのために使いやすいのが、ボイスレコーダーです。
ボイスレコーダーを、可能であればつけっぱなしにして、
難しいようであれば自動録音にしましょう。
そして、パワハラ行為が行われるまえに咳払いなどして、
録音モードになるように練習をしておきます。
ボイスレコーダーの日付や時間設定を忘れずに。
証拠として提出するときに、ボイスレコーダーの聞き直しなどが必要となります。
そのときに、日付が合っていないと大変です。
【5】ボイスレコーダーだけでよいのではないか。
ボイスレコーダーは、客観性に優れているのですが、
検索は、まだまだ難しい面があります。
パワハラは、パワハラ行為の積み重ねによって、
その加害行為の残酷さが分かるものが多いです。
すると、大量の証拠が必要となります。
このとき、証拠がボイスレコーダーだけだと、
どこにパワハラ行為の証拠があるかが分かりにくくなります。
ですから、被害メモで簡易の説明を行い、
その被害メモの信ぴょう性をボイスレコーダーで補強するというつもりで、
ボイスレコーダーを使用するのが、現実的です。
【6】大量の証拠を集めよう
加害者の行為の残酷さは、
大量の証拠によってはじめて、臨場感が伝わります。
証拠は大量に集めましょう。
また、継続的なものであることが分かるように、
継続的に取り続けてください。
証拠を集めることが、反撃の第一歩です。
加害者を泳がせて、パワハラ行為の証拠を着々と集めましょう。
ぐうの音も出ないほど圧倒的な証拠を集めたら、反撃開始。
それまでは、証拠集めに集中しましょう。