ブログに、反対意見をいただくことが多くなっています。
その中に「後先考えずに辞めるのは
幼稚だ」というものがありました。
今回は、これについて考えたいと思います。
【1】パワハラ被害を受けていても、幼稚なのか
このブログは、パワハラ被害者に向けて書いています。
ですから、
このブログで「後先考えずに辞めるのは幼稚」という議題は、
「パワハラ被害を受けていても、後先考えずに辞めるのは幼稚か?」
という議題と同じになります。
コメントしてくださった方の主張は、
先に転職活動を考えるべきではないのかというものでした。
これについては、そのとおりだと思います。
私の基本方針は、「無理はしない」です。
転職できるなら転職活動をいますぐ初めてほしいと、
何度も書いています。
転職が難しいなら、副業・起業という選択肢があることを
忘れないで欲しいとも書いています。
私の主張は、許容できるリスクの範囲内で
最大限のリスクを取ろうというものです。
「今すぐ辞めるんだ!」とは、
書きたいですが書いていません。
【2】自分の心身を守るために、辞めるという選択肢
では、一方で、転職・副業・起業を考えずに辞めるのは、
幼稚なことなのでしょうか?
私はそうは思いません。
自分の心身を守るために辞めるというのは、
1つの立派な選択肢です。
次の収入源を確保するために、
休みを取るのは、れっきとした選択肢の1つ。
勇気ある決断だと思います。
【3】一番幼稚なのは誰か?
そもそも最も幼稚なのは、加害者であり、放置している会社です。
パワハラは法律上も、
許容すべきではないものとされています。
意識的に、無意識に、
社会的に許されないことをしているのが加害者、
それを防止する義務があるのに放置しているのが会社です。
被害者はその幼稚な人や会社の影響を受けて、
辞めざるを得ない状況に追い込まれました。
そして、辞めるという決断をした。
これは幼稚なことでしょうか?
【4】自己責任の意識があればいい
もちろん、全責任を加害者に負わせることはできません。
会社に対しても、同様です。
私は、被害者には何ら責任はないとは思っています。
思っていますが、私自身が受けたパワハラ被害について、
100%相手が悪いとは、少なくとも主張はしません。
「自分は全く悪くないのに、パワハラを受けた」と主張したら、
あなたは、その人を信じられるでしょうか。
加害者、会社に、
100%の責任を負わせるということは、
それはそのまま、「自分は何もしない」と認めることです。
「自分は何もしない」という人を、
サポートしたい人などいません。
つまりは、状況改善ができなくなるのです。
サポートを受けるためにも、
状況を改善するためにも、
ある程度の自己責任は認める必要があります。
ですが、人間の心情として
「退職に追い込まれた」、「辞めざるを得ない」と思うのは、
当たり前のことでしょう。
ですから、被害者心理は複雑です。
加害者が悪く、あなたは悪くないと言ってほしいと思いつつ、
自分は悪くないとは言い切れない。
このような心理が分かる人でないと、
被害者支援というのはできないのです。
だから、被害者心理が分かる人か、
もしくは心理のプロ以外は、
パワハラ被害者支援に手を出すなと書いているのです。
こういう被害者心理が分からない人が、
パワハラ問題に口を出すと、
被害者に対して二次被害を出すからです。
【5】ずっと自分を責めている時期を超えている
被害者は全員、自責の時期を超えています。
「自分が悪いのではないか」、「自分には能力がないのではないか」、
「自分の存在価値はなんだろう?」と、思う時期を過ごしている。
そのような状態が深刻になると、
自分を保つために、
「加害者が100%悪い」と思うようになる。
「こんな人たちがいるところにいる必要はない」と、思うようになる。
だから辞めたい。
けれど辞められない。
でももう、身体が会社に行けない。
会社に行けないから、辞めよう。
このような状態に追い込まれて、
辞めるのです。
そういう人に向かって、
「後先考えずに辞めるのは幼稚」なんて言えるとしたら、
その人は、人ではないです。
【6】辞めた方がいいに決まっている。
辞めた方がいいに決まってます。
「後先考えずに辞めるのは幼稚」なんていう言葉なんて、
まったく気にする必要はありません。
それは自分を守るために手段の1つであって、
あなたの決断です。
その決断の結果責任を負うのはあなたですから、
他人の言動なんて無視しましょう!
何度も言いますが、
もちろん、転職活動や副業・起業に向けた活動ができるなら、したほうがいい。
でも、精神的余裕が全くないなら、辞めたほうがいいに決まってます。
あなたに「転職活動をすべきだ」のように
「しなければならない」を強制する人は、無視すればいい。
あなたは「~したい」を応援してくれる人とだけ、繋がればいい。
あなたが「辞めたい」なら、
辞めることによる不利益をどうやって取り除くかを、
一緒に考えてくれる人だけで、十分です。
そして、そういう人は実際にいますし、
あなたを本当に助けてくれるのは、
そういう人だけですよ。
善意の仮面をかぶった、
自己主張の押しつけに負けないで!