今回は、ニュースを取り上げて、パワハラの定義のご説明をします。
今回取り上げるニュースは、こちらです。『「学長メールはパワハラ」 国際大教授ら撤回要求 新潟』
http://www.asahi.com/articles/ASJ6Q5GXXJ6QUOHB023.html
【1】学長から学生に対して、パワハラ?
取り上げたニュースでは、学長が生徒に出したメールが、パワハラに当たるとして、大学教授らが学長に対して、撤回要求を出している、というものです。
ただ、これをパワハラに含めるべきものかは、問題だと思います。
これをパワハラと言ってしまうと、パワハラの概念が広がりすぎるきらいが、あるからです。
【2】概念が広がりすぎる問題
概念が広がりすぎると、「なんでもかんでもパワハラ」という論調が出てきてしまうからです。
たとえば、「業務命令をしただけのに、パワハラだと言われた。なんでもパワハラと言えばいいってもんじゃない!」という、主張がされるようになります。
【3】被害者は、いまでさえ主張しにくい。
「なんでもパワハラ」という風潮がつくられると、一番困るのは、今、まさに被害を受けている人です。
ただでさえ会社の圧力により、主張しにくいパワハラ被害が、一層、主張しにくくなります。
【4】パワハラは、労働関係に絞るべき。
学長と、学生の間には、労働関係はありません。学長から学生への指揮命令権はありませんし、反対に、学生から学長への給与の請求権もありません。
この問題は、重大な人権問題ではありますが、パワハラというべきではない、と私は思います。
もちろん、法律上のパワハラの定義は、まだできていません。
しかし、少なくとも現段階で、共通理解ができている定義から、大きく外れた使い方は、してほしくありません。
ですから、もしあなたがパワハラについて語るとき、パワハラと主張するときは、労働問題に限って話していただけたらと思います。